ショートストーリー
明日への贈り物 Episode22
「学校に行きたくない」娘の気持ちを認めてあげたい自分と認められない自分
いばらきの子どもと子育てファミリーへある家族の物語をご紹介します。
この物語が誰かの救いや気づき、そして児童虐待防止につながることを願って。
不登校になり始めた娘に向かい合う母の正直な気持ち
小学5年生の娘は春頃から少しずつ学校に行きたくないと言うようになった。きっかけは友達に意地悪をされたこと。夏休みの間は伸び伸びと過ごしたようだけど、2学期最初の日が近づくと「行きたくないなぁ」と口にしていた。その度に私は「大丈夫だよ」と励ましていた。
いよいよ2学期最初の日。娘が部屋から出て来ないので、覗くと部屋の中でうずくまっていた。「学校に行く時間だよ」声を掛けても返事はない。もう一度言うと「行きたくない!」とランドセルを投げられた。
1日ぐらい仕方ないか、と学校に連絡してその日は休みに。すると翌日も、その翌日も休んでしまった。
ずるずると休み続けた1週間後の朝。「今日はどう?行けそう?」言ってはいけない言葉。でも他にどう言えば分からない。「うるさいな!ほっておいてよ!」娘も毎朝聞かれて嫌気が差したのか、その場にあった大きな花瓶を床にたたきつけた。
「何てことするの!」カッとして娘の顔を思わず叩いてしまってから我に返った。叩いても何も解決にはならない。この子の言う通りにさせてあげるべきなのかもしれない。でも、この子がこのまま学校に行けなくなったらどうしよう。私の中で認めてあげられないことが苦しい。
※取材した実例をもとに一部フィクションを加えています