居心地の良い場所「サードプレイス」とは
「家」と、「職場」や「学校」をつなぐ場所
(※内容は2017年11月25日時点のものです)
私たちが生きていく上で必要な「場所」が3つあります。1つ目は生活の起点・終点となる「家」。
2つ目は、「職場」や「学校」といった社会とのつながりを維持する場所。
そして3つ目が、その2つの中間に位置付けされる「サードプレイス」です。それは特定の場所を指し示すのではなく、私たちがそれぞれの価値観に基づいて決める居心地の良い場所のこと。その「サードプレイス」を創りだすために下妻市で活動しているのが、「しもつま3高」というまちづくり市民グループです。
架空の高等学校 「しもつま3高」の誕生
発案から結成するまで
「下妻市には下妻一高と下妻二高があるから、市民にも馴染みやすく、架空の下妻第三高等学校をモチーフにしよう」というメンバーからの発案で決められた「しもつま3高」。
行政が主導していた2014年創設の「砂沼周辺地区まちづくりワークショップ」が前身となっており、筑波大学渡准教授をアドバイザーとして招き、サードプレイス創出を通して下妻市のまちづくりに取り組んできました。
まちづくりワークショップは商店街や商工会から選出されたメンバーで構成されていましたが、更なる発展を目標に、市民の声や活動メンバーの公募を行ったところ続々と声が上がり、今年の3月にしもつま3高を結成するに至りました。結成後もメンバーは増え続け、今では最年少9才から65才までの45名が在籍しています。
ハロウィンイベントでのSNAP1
ハロウィンイベントでのSNAP2
街を元気にする、しもつま3高の活動拠点
メンバー手作りの場所
今年の4月、「下妻市にぎわい広場Waiwaiドームしもつま」の開設に合わせて、隣接する空き店舗を活用し街を元気にする活動拠点とするため、店舗のオーナーであり市商工会長でもある外山様にも趣旨にご賛同いただき、改装を行いました。
最低限の設備だけが残された空き店舗は、居心地の良い場所には程遠いものがありました。
そこでメンバー自ら壁や柱の塗装を行ったり、屋外デッキを作ったり、隣のスタジオにクッションフロアを貼ったりと、一つ一つを協力し合って作り上げていったそうです。
プロの手が必要な場面では地元の企業のみなさんが手を貸してくれました。そしてしもつま3高の活動拠点、「かふぇまる」が完成しました。
前身の頃から、まちづくりに取り組んできた井上規さんは「什器も廃校になった小学校の備品を譲ってもらったりと、市民、企業、そして行政が一体となって協力し合いました」と当時を笑顔で振り返りました。
しもつま3高 メンバー 井上 規さん
多彩なメンバーが結集 みんなの居場所「かふぇまる」
しもつま3高 会長 住谷 辰夫さん
「いかに市民が楽しめる場所にするか」ばかり考えていた
活動拠点が決まっても、それを使って何をするか、どうするかというのは具体的に決まっていませんでした。
昨年4月の公募で活動に加わったしもつま3高の住谷辰夫会長は、「いかに市民が楽しめる場所にするか」ということばかり考えていたと言います。
住谷会長は、自らの趣味であるウイスキーのコレクションを持ち込み、バーのオーナーに扮した「しもつま酒楽の宴」というイベントを開きました。親子連れでも楽しめるようお酒だけでなく料理も提供しますが、それを用意できるのは地元の料理店の協力あってのこと。
かふぇまるのイベントで知ったそのお店の味を、今度はお店に行って楽しもうという入口にもなるのです。このイベントはとても好評で、今でも定期的に開催しています。
目標は「個人の表現」
イベントから生まれる人間関係
かふぇまるが掲げる目標のひとつに「個人の表現」があります。これは、メンバー一人一人が持つ強みであったり、得意分野や興味があることなどを発信することで、新しい人と人との結びつきや関係の発展などを目指した活動のことです。
イベントカレンダーを見てみると、ダンスやヨガの教室、手作り雑貨販売、移動販売のカフェなど定期的な催しが見受けられます。しもつま3高メンバー発の企画もあれば、ここを使って何かをしたいという利用者側からの要望もあります。
趣味でギターをやっている人が来ればいつの間にか音楽が始まり、人と話をするのが好きな人、お酒が好きな人、色んなお店の料理を楽しみたい人など、目的は違っても集まる場所が同じなら、新たな対話や人間関係が生まれます。そこに行けば誰かに会えるという安心感が、心のよりどころ「サードプレイス」としての役割そのものです。
ハロウィンイベントでのSNAP3
ハロウィンイベントでは焼きそばも販売!
ワクワクするイベントで下妻市をもっと盛り上げたい
しもつま3高のこれからとは
住谷会長は、「ゆくゆくは、下妻市のイベントをすべてしもつま3高でプロデュースしたいね」とメンバーと目を合わせながら、目を輝かせて話します。
「現状では、下妻市や観光協会が主体となったイベントというのは、きっちり執り行われることがほとんど。でも、そこに私たちのような自由な発想を持ったグループが乗っかるのではなく、下から持ち上げるように盛り上げていきたいんです」と、大きな目標を力強く語ってくれました。
自分の「得意」や「好き」を生かすこと、コミュニティに参加して新たな交流を生むことと、地域を盛り上げることは一見すればまったく別のことのように思えますが、すべてを一本でつなげば、出会いが増えるほど、より強い結びつきとして絆になります。
しもつま3高への「入校資格」には下妻市民だけと限定するような項目はありません。下妻周辺の地域の人とのつながりを大切にしながら、それを通して街を活性化させ、その中で各々の得意分野ややりたいことなどを自由に表現し、発展させることを目的としているからこそ、より多くの人の心に響いているのかもしれません。
下妻市を盛り上げるために、各々が自分の出来ることを一生懸命やりきることこそが、まちの底力を上げるパワーそのものだと感じました。
気になった方はぜひお越しください
かふぇまるcafe & studio
◎住所/下妻市下妻乙339-2
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